2025/09/01
アパートは短期で借りられる?短期で借りるメリット・デメリットや賢い選択肢もご紹介

引っ越し前の仮住まいや短期の単身赴任など、「数ヵ月だけアパートを借りたい」と考える人は少なくありません。しかし、賃貸アパートは通常2年契約が基本で、短期で借りられるのか不安に思う方もいるのではないでしょうか。
本記事では、短期でアパートを借りる仕組みから、メリット・デメリット、契約時の注意点まで詳しく解説します。さらに、1ヵ月以上の滞在なら初期費用を大幅におさえられる選択肢もご紹介。期間や予算に合った最適な住まい選びの参考にしてください。
Contents
そもそも短期でアパートは借りられるの?

結論から述べるとアパートを短期で借りることは可能ですが、物件数が限られるので通常の賃貸契約とは異なる条件があります。また、一般的な賃貸物件は2年契約が基本のため、短期間での利用には対応している物件は少ないのが現状です。
まずは、短期契約が可能な仕組みや一般的な賃貸との違い、実際にどのようなケースで短期契約されているのかを解説しましょう。
短期間で借りられる仕組み
短期でアパートを借りられる物件には、主に3つのタイプがあります。
1つ目は「定期借家契約」といって、あらかじめ契約期間が決められている賃貸契約です。契約の更新がなく、契約期間が満了すると退去しなければいけません。
2つ目は「短期解約付き物件」で、2年未満で解約すると違約金が発生する物件です。大家側はできるだけ長く住んでほしい理由により、短期間だからこそあえて違約金がかかることを提示しています。
3つ目はマンスリー契約に対応した賃貸物件で、1ヵ月以上の契約が可能です。
ただし、定期借家契約や短期解約付き物件は、全体の賃貸物件数から見ると非常に少なく、エリアや時期によっては見つけることが困難な場合もあります。大家にとって短期契約は空室リスクが高いため、対応物件が限定的なのが現状です。
一般的な賃貸物件との違い
短期で借りられるアパートは、通常の2年契約賃貸に対して3ヵ月〜1年程度の期間限定契約が中心です。また、短期物件の初期費用は敷金・礼金が割高に設定されていることが多く、場合によっては短期契約料金が上乗せされる物件もあります。さらに、家賃も通常の賃貸より1〜3割程度高く設定されているケースがほとんど。保証人や保証会社の審査基準も、短期契約の場合は厳しくなる傾向です。
短期でアパートを借りるケース
短期でアパートを借りる人には、以下のようなケースがあります。
【仕事関連】
- ・数ヵ月間の出張や研修での一時的な住まい
- ・転職活動中の仮住まいとして利用
- ・プロジェクト単位で働く場所が変わる職種
【個人的な事情】
- ・自宅のリフォームや建て替え期間中の仮住まい
- ・家族の介護や看病のための一時滞在
- ・一時帰国の仮住まい
- ・複数受験する際の宿泊先
- ・離婚協議中の別居先
短期でアパートを借りるメリット
短期でアパートを借りるメリットは主に3点あります。以下で詳しく解説しましょう。
長期契約に比べて初期費用をおさえられる可能性がある
短期契約の場合、トータルの初期費用が長期契約よりおさえられるケースがあります。通常の2年契約の場合、初期費用は家賃6ヵ月分が相場です。しかし、3ヵ月や6ヵ月の短期契約なら、そもそも長期間住まないため実質的な負担額は少なくなります。
また、家具付き物件であれば新たに購入する必要がないため、結果的に引っ越し時の負担を減らせます。さらに、定期借家契約の物件では、大家さんが早く入居者を決めたいために、礼金なしや敷金減額といった条件を提示するケースもあるのです。期間や条件、交渉次第で初期費用をおさえられるのは短期でアパートを借りるメリットといえるでしょう。
自分好みの部屋にカスタマイズできる

短期アパートでは家具やインテリアを持ち込んで、自分らしい部屋に仕上げられます。カーテンやラグ、照明器具なども好みのものにしたり、収納グッズを活用して使いやすい空間を作ったりなど。自分好みにカスタマイズすることで生活の質を高められます。一時的とはいえ、生活感のある部屋に住みたいという方には向いています。
住民票の移動が可能である
マンスリーマンションやホテルでは住民票を移せないケースが多いですが、短期でもアパートを借りれば正式な住所として住民票の登録が可能です。住民票を移しておけば、役所での手続きや郵便物の受け取りがスムーズになって生活基盤を安定させられます。例えば、地域の行政サービスを受けられ、図書館の利用証の発行や自治体の各種補助金申請などもできます。また、運転免許証や銀行口座の住所変更もスムーズに行え、公的な身分証明書の住所を統一できるのです。
元の場所に戻らない期間が1年以上であれば住民票を移す必要があるため、そういった面からは短期アパートを借りるメリットといえます。
短期でアパートを借りるデメリット
短期でアパートを借りることにはメリットがある一方で、デメリットもあります。以下4点のデメリットを踏まえたうえで、本当に短期アパートが最適な選択肢なのか判断材料にしてください。
家賃が割高である
短期契約のアパートは、通常の賃貸物件と比べて家賃が1.2〜1.5倍程度高く設定されているケースがほとんどです。例えば、通常なら月8万円で借りられる物件が、短期契約では月10〜12万円になることも珍しくありません。これは、大家側にとって短期契約は空室リスクが高く、入居者が頻繁に入れ替わることで管理コストがかかるからです。
また、短期解約付き物件の場合は、契約期間が短いほど割増率が高くなる傾向があります。その結果、数ヵ月の滞在なのに長期契約よりもコストが高くなったという事態になりうることもあるのです。
選べる物件数が少ない
短期で貸し出されているアパートは数が限られているため、希望の立地や間取りの物件を見つけるのは難しいのが現状です。特に、ファミリー向けの2LDK以上の物件や、ペット可物件での短期契約はほぼありません。条件に合った物件を見つけても、契約期間が短い分だけ競争率も高く、希望通りに契約できない場合もあります。そのため、「住みたい場所ではなく、借りられる場所に住む」と妥協しなければいけないこともあるでしょう。
家具や家電を揃える必要がある
ホテルやマンスリーマンションは別ですが、短期アパートは通常の賃貸物件と同様に家具や家電は自分で用意しなければいけません。冷蔵庫や洗濯機、ベッドなどの生活必需品を揃えると少なくとも20〜30万円の出費になることも。短期間しか使用しないのに高額な出費となり、コストパフォーマンスは悪いといえます。
短い期間でもライフラインを契約しなければいけない

たとえ1ヵ月の短期契約でも、電気・ガス・水道・インターネットなど、すべてのライフラインを自分で契約しなければいけません。契約手続きには時間がかかり、開通工事や立会いは必須。入居してすぐに生活をはじめられないケースもあります。またインターネットは開通費用や解約手数料が発生する場合もあり、短期滞在者にとっては不便さを感じることも。これらの手続きにかかる時間と労力を考えると、短期滞在には大きな負担となるかもしれません。
アパートを短期で借りる際の注意点
短期でアパートを借りる際は、通常の賃貸契約以上に慎重にならなければいけません。契約前に注意すべき点を理解しておかないと、思わぬ出費やトラブルにつながる可能性があるからです。ここからは、短期アパート契約で特に注意すべき4つのポイントを詳しく解説しましょう。
初期費用の内訳を把握する
短期契約では初期費用の内訳が通常の賃貸と異なることが多いため、詳細な確認が不可欠。一般的な敷金・礼金・仲介手数料以外に、「短期契約手数料」や「保証会社利用料」など、長期契約では発生しにくい費用が追加される場合もあるからです。契約前には必ず見積もりを取り、総額でいくら費用がかかるかを把握しておきましょう。
退去時の原状回復や清掃費を確認する

短期契約であっても、退去時には原状回復費用や清掃費が請求されるのが一般的です。原状回復についても、通常の経年劣化として認められる範囲が狭く設定されている場合があります。そのため、契約前に「退去時にどんな費用が発生するのか」「清掃費はいくらかかるのか」を把握しておけば、予想外の出費を防げます。契約書の特約事項は必ず確認し、不明な点は契約前に質問して、書面で回答してもらいましょう。
解約のタイミングによっては違約金が発生することもある
短期契約でも契約期間満了前の解約には違約金が発生する場合があります。例えば、6ヵ月契約の中3ヵ月で退去する場合、残り3ヵ月分の家賃50〜100%を違約金として請求されることがあるのです。
また、解約を申し出るタイミングも重要です。通常の賃貸は1ヵ月前予告が一般的ですが、短期契約では2ヵ月前予告が必要な物件もあります。退去のタイミングを誤ると無駄な家賃を支払うことになりかねません。契約書に記載された解約条件を必ず確認し、予定変更に備える必要があります。
契約更新や延長は必ずできるとは限らない

短期契約で多い定期借家契約は、契約期間満了時に自動更新されないため延長したくても必ずできるとは限りません。延長できるかは大家次第。次の入居者を既に決めていたり、物件の売却・取り壊しを予定していたりする場合は、延長は不可能です。また、延長が可能な場合でも新たな契約として扱われ、再度初期費用が必要になることもあります。「予定より長く住みたい」となったときに困らないよう、契約時に更新や延長の可否を確認しておくと安心です。
1ヵ月以上の短期滞在ならアパートよりもマンスリーマンションという選択肢も!

ここまで短期アパートのメリット・デメリット・注意点を解説しましたが、実は1ヵ月以上の滞在なら、マンスリーマンションという選択肢があります。初期費用や生活準備の負担が少なく、すぐに快適な生活を始められるのが魅力。以下で詳しくご紹介しましょう。
敷金・礼金・仲介手数料は不要である
マンスリーマンションの最大の魅力は、敷金・礼金・仲介手数料が一切かからないことです。通常のアパート契約では家賃の4〜6ヶ月分もの初期費用が必要ですが、マンスリーマンションで事前に支払うのは光熱費を含めた利用料と、ルームクリーニング代(2万円前後)、住宅保険(約800円/月)だけ。短期アパートに比べると大幅にコストをおさえられるケースが多いのです。もちろん、短期契約の割増料金もありません。滞在期間が1ヵ月〜1年未満であれば短期でアパートを借りるよりもマンスリーマンションの方がコストパフォーマンスがよいといえるでしょう。
光熱費は定額なので予算管理しやすい

マンスリーマンションでは、電気・ガス・水道などの光熱費がすべて定額制です。一般的に、光熱費は1日あたり500〜1,000円程度で、使用量を気にせず生活できるため、季節による出費の変動がありません。表示されている料金がそのまま支払い額となるため、予算管理がしやすくなります(※使用量が一定の上限を超えた場合、追加料金が発生することがあります)。
家具家電付きなのですぐに生活をはじめられる

マンスリーマンションには、冷蔵庫・洗濯機・ベッド・電子レンジなど生活に必要な家具や家電があらかじめ備え付けられています。そのため、引っ越しの準備や買い揃えの手間が不要で、入居したその日から快適に生活できるのが魅力。退去時も購入した家具家電の処分に悩まなくてすみ、引っ越し費用も最小限におさえられます。荷物を最小限にしたい単身赴任者や短期滞在の学生にとって、特に便利な住まいのスタイルです。
ライフラインの面倒な手続きは不要である
マンスリーマンションでは、電気・ガス・水道・インターネットなど、すべてのライフラインが契約済みの状態で入居できます。通常のアパートで必要な各種開通手続きや立会い工事、契約書類の準備などは一切不要。入居当日に鍵を受け取れば、すぐに電気もガスも使える状態になっており、インターネットもパスワードを入力するだけで接続できます。
また、退去時の解約手続きも不要で、解約のタイミングを気にする必要もありません。マンスリーマンションなら手続きにかかる時間や労力を丸ごと省けるので、短期滞在者や忙しいビジネスパーソンにとっては魅力的な選択肢です。
必要な期間だけ契約できる
マンスリーマンションは最短1ヵ月から契約期間を自由に設定でき、条件次第では延長・短縮が可能です。契約更新や違約金の心配もなく、予定変更にも対応しやすいのが強み。アパートの短期契約に比べて自由度が高く使い勝手がよいため、出張・研修・仮住まいなど幅広いシーンで選ばれています。
参考記事:マンスリーマンションとは?借りる際の注意点を解説!
参考記事:1ヵ月だけ部屋を借りるには?タイプ別にメリットとデメリットを解説
短期の住まいを探すなら、期間・目的・ライフスタイルに合った物件を選ぼう
短期でアパートを借りるのは可能ですが、初期費用の高さや物件数の少なさ、各種手続きのわずらわしさなど多くの課題もあります。そのため、短期の住まい探しでは、「どのくらいの期間住むのか」「家具やライフラインは必要か」「費用をどこまでおさえたいか」といった条件によって選択肢は変わります。
数週間〜1ヵ月ならホテルやウィークリーマンション、1ヵ月〜1年未満ならマンスリーマンション、1年以上なら短期アパートと、それぞれの特徴を理解して選ぶのが大切です。アパートを短期間借りることにこだわらず、柔軟に選択肢を検討すればより快適でコストパフォーマンスのよい住まいが見つかりますよ!
