2019/01/30
短期滞在に便利なマンスリーマンションとは?法律の適応と契約の流れ
ホテルと並び、短期滞在の選択肢の1つであるマンスリーマンション。
短期滞在の宿泊先を検討されている方の中には、以下のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
「短期滞在の宿泊はどこが良いの?」
「マンスリーマンションはほ他の宿泊施設や賃貸物件と何が違うの?」
「マンスリーマンションは初めてのため利用方法が知りたい」
今回は、短期滞在の宿泊場所をお探しの方へ向けて、マンスリーマンションの特徴や契約の流れ、法律関係の注意点について解説します。
Contents
1.マンスリーマンションとは?他にはない特徴・魅力
まずは、マンスリーマンションの基本情報について、ご紹介します。
〇マンスリーマンションとは
マンスリーマンションは、その名の通り「1か月単位」で借りられるマンションのことです。短期間の宿泊を前提条件として、一般的な入居や転居手続きよりも手軽に利用できる仕組みとなっています。
そのため、出張や単身赴任、旅行での短期滞在先の拠点として、ビジネスホテルの代わりに利用することも可能です。近年では、海外旅行客の増加などの影響で、ホテルがいっぱいになっている場合も少なくありません。
そのような時でも、マンスリーマンションならホテルに近い手軽さで入居することができます。
〇マンスリーマンションの特徴・魅力
マンスリーマンションの魅力的なポイントとして、以下4点が挙げられます。
・家具や電化製品等の設備が一式用意されている
・簡単な手続きで入居できる
・誰でも借りることができる
・敷金や礼金が不要(入居時に清掃費は必要)
一般的な物件と違いマンスリーマンションには、洗濯機や電子レンジなどの家電や生活用品が入居時から用意されています。
誰でも簡単な手続きで借りられて、敷金礼金等の賃貸契約にまつわる初期費用が不要なこともメリットです。
2.マンスリーマンションの短期宿泊施設としての「立ち位置」と「種類」
マンスリーマンションは、「ホテル利用のような入居の手軽さ」と「賃貸住宅のような安心感」の魅力がある短期宿泊施設です。法律的な立ち位置は、ホテルとも賃貸住宅とも異なっています。
そこで、ここからはマンスリーマンションを利用するにあたって、事前に確認しておきたいポイントを解説していきます。マンスリーマンションの利用方法について、ホテルや賃貸物件との具体的な違いや、法律上の扱いについてもチェックしておきましょう。
2-1.短期宿泊施設としての「立ち位置」|賃貸住宅・ホテルとの違い
まずは、マンスリーマンションが他の短期宿泊施設であるホテルや賃貸住宅とどのように違うのかについて解説していきます。
〇契約期間の違い
ホテルは契約ではないため、予約さえ取れれば自由に滞在できます。マンスリーマンションは、賃貸住宅と比べて簡単な手続きで、入居できることが特徴です。契約期間が最低1か月であるため、短期利用が一般的です。一方で、賃貸住宅の契約期間は2年間ごとなど、長期での契約が前提となります。
〇コストの違い
賃貸住宅は入居時の審査事項が多く手続きも複雑になりますが、マンスリーマンションは申込みの手順が少なくスムーズな入居が可能です。さらに、マンスリーマンションは敷金礼金が不要なため、賃貸住宅よりも入居時のコストがかかりません。
1泊あたりの宿泊費についても、ホテル・賃貸住宅・マンスリーマンションを比べてみましょう。同じ地域で同じような立地の物件で比較した場合、1泊あたりの宿泊費が高くなりやすいのがホテルです。次いでマンスリーマンション、最後が賃貸住宅となります。しかし、賃貸住宅の敷金礼金の額を考慮すると、短期の滞在であればマンスリーマンションの方がお得な場合もあります。
〇生活に関する違い
ホテルでは自炊を行うことは難しいですが、マンスリーマンションなら家具家電付きのため自由に調理が可能です。この他、マンスリーマンションの方がホテルよりも照明が明るいことや、家電付であること、フロントがないこと、ホテルと違って清掃サービスが入らないためプライバシーが保たれているといった点も、両者の違いとして挙げられます。賃貸住宅はプライバシー面や暮らしやすさの点では他の2つよりも優れていますが、家具・家電・日用品すべてそろえなければいけないため、短期の滞在には向かないケースが多いようです。
2-2.マンスリーマンションの種類|遵守すべき法律について
ホテルと賃貸物件、両方の長所を兼ね備えるマンスリーマンションですが、実は「マンスリーマンション」という言葉の具体的な定義は存在していないのが現状です。
マンスリーマンションを利用する入居者の立場から意識されることはあまりありませんが、運営形態としては2つのパターンが存在します。
1つは、賃貸業において賃貸借契約を締結し部屋を提供している形態です。そしてもう1つは、旅館業にて利用者を宿泊させて部屋を提供している形態となります。この2つは建物の種類や監督省庁、そして順守すべき法律が異なるのが特徴です。
旅館業と賃貸業を区別する判断基準には下記が挙げられます。
①施設の管理・経営形態を総体的に見て、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められる。
②施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないことを原則として、営業するものである。(引用元:厚生労働省「旅館業に関する規制について」 http://www.mlit.go.jp/common/001111877.pdf)
数日~数週間の滞在を目的としたウィークリーマンションでは、上記の「生活の本拠を有さない」という点から旅館業法が適用されます。一方で、利用期間が30日以上となるマンスリーマンションでは滞在拠点とみなされ、原則として旅館業法が適用されません。
30日以下の滞在ができるマンスリーマンションは法に触れている可能性もあるため、トラブルに巻き込まれないよう注意が必要です。
3.マンスリーマンションの契約方法・契約の流れ
次に、マンスリーマンションを契約するまでの流れを解説します。入居したい物件を探して申し込みを行い、利用の可否の確認と支払いを終え、鍵の受け渡しへと進むのが一般的な手順です。
①入居物件を探す
地域や最寄駅、駅徒歩圏内などの条件をもとに、入居したいマンスリーマンションを見つけます。
ビジネスユースでマンスリーマンションを契約する際には、宿泊したいエリアで土地勘がないという場合も少なくありません。マンスリーマンションの業者によっては、目的に応じて最適な物件を案内してくれる場合があります。物件選びに不安がある場合は申し込みの前に相談しておくのがおすすめです。
②空室状況を確認
希望物件の空室状況を確認します。この時、もし空いていない場合は近隣の似た空き物件を紹介してもらえる場合もあります。
ネット上で検索・予約ができる物件もありますが、必ずしも空室とは限りません。現在進行形で別の入居希望者からの申込手続きが進んでいる場合などは、希望の物件に入れないこともあるため、急ぎの場合は注意してください。
③申込手続きを行う
希望物件が空室の場合は、申込手続きを行います。この時、個人での利用と会社法人での利用で、必要な書類や賃料が変わるため注意しましょう。また、未成年者や外国人の方が利用する際には、契約ルールを個別に確認しておくのがおすすめです。
④利用料金をお支払い
申し込みが無事に受理されれば、利用料金の支払いをしましょう。振込手数料は利用者負担の場合が多いようです。
費用の支払い方法については一括や月々払いなどから選択可能な場合がほとんどです。期日までに確実に振込を行ってください。キャンセル待ちなどがある人気の物件であれば、期日を過ぎると、他の希望者の入居がすぐに決まってしまい、再申し込みができない場合もあります。
⑤鍵の受け渡し・入居
支払いが完了した後、入居当日に鍵の受け渡しを行い、マンスリーマンションへの滞在がスタートします。この時、入居中のルールに関する説明や、家具家電の使用方法、ゴミ出しなどの方法を説明されることがほとんどです。利用に際しての規約に違反があると、その後の利用ができなくなる場合があるため、ルールを順守しましょう。
4.マンスリーマンション契約時の注意点
マンスリーマンションを契約する時には、下記のような点に注意が必要です。
・途中解約時に返金を受けられない場合が多い
・違約金のルールを事前に確認しておく
・洗濯物を干すスペースが少ない物件もある
・収納のスペースが十分かどうか事前に確認する
・騒音や振動など、物件の周辺環境を事前に確認しておく
・インターネット利用や寝具に追加料金がかかることがある
短期宿泊や長期出張に便利なマンスリーマンションですが、賃貸住宅と違って事前に内見できない場合がほとんどです。
そのため、洗濯物を干すスペースや収納の容量が思ったより少ないことがあります。また、周辺の交通状況によっては騒音や振動が気になる場合もあるため注意が必要です。
この他、インターネット利用や寝具の利用に関して追加料金がかかるかどうかの確認や、もしも30日以内に退去する必要が出てきた場合の返金可否についても注意が必要です。
低価格だと思っていた物件が、生活に必要なオプションを足すと、相場より高くなってしまったというケースもあるため、あらかじめ問い合わせておきましょう。
まとめ
今回は、マンスリーマンションの特徴や契約の流れ、利用時の注意点についてご紹介しました。マンスリーマンションは、「ホテルの便利さ」と「賃貸住宅の住みやすさ」を兼ね備えた短期宿泊施設です。
なお、利用に際してはホテルや賃貸住宅とは異なる申込手続きが必要となります。今回解説した利用の流れを参考に、ぜひ入居までの手続きをスムーズに進めてください。マンスリーマンションの特徴や注意点を把握して、短期滞在を快適に過ごしましょう。