公開日:2026/10/15
1ヶ月以上の入院でかかる費用は?負担を軽くする制度と付き添い家族の滞在先も解説

家族の入院が1ヶ月以上になると、費用はどのくらいかかるのか心配になるもの。遠方から付き添う場合は、入院費に加えて滞在費も必要です。また、医療費の自己負担には高額療養費制度による上限があるものの、食事代や差額ベッド代は対象外なので思った以上に出費がかさみがちです。
本記事では、入院1ヶ月以上にかかる費用の内訳、負担を軽くする制度を解説します。併せて、遠方から付き添う家族の滞在先も紹介。家族の長期入院で、できるだけ費用をおさえたいと考えている方は必見。入院が長引きそうなときに、何に費用がかかるのかを把握し、早めに備えておきましょう。
Contents
入院1ヶ月以上でかかる費用の内訳
入院1ヶ月以上でかかる費用には、高額療養費制度で負担に上限がある医療費と、制度の対象外で全額自己負担になる費用があります。まずは、入院費・治療費、食事代、差額ベッド代、日用品・衣服などの雑費について解説しましょう。
入院費・治療費

入院費・治療費は、基本的には公的医療保険が適用され、自己負担の割合は年齢に応じて1〜3割です。年齢の負担割合は、以下のとおりです。
- ・小学校入学前:2割
- ・小学校入学後〜69歳:3割
- ・70〜74歳:2割(現役並み所得者は3割)
- ・75歳以上:1割(一定以上の所得がある方は2割、現役並み所得者は3割)
※子どもの医療費は自治体の助成制度により、自己負担がさらに軽くなる場合があります。
入院費には、診察や看護、室料や寝具代などが含まれています。大部屋なら部屋代を追加で支払う必要はありません。ただし、先進医療の技術料は保険の対象外となり、全額自己負担です。
一方、保険が使えない治療(自由診療)や、先進医療の技術料は全額自己負担になります。1〜3割の自己負担でも、1ヶ月以上入院すると金額は大きくなりがち。しかし、高額療養費制度など、医療費の負担を軽くする制度があります。その負担を軽くしてくれるのが、後述する高額療養費制度です。
食事代
食事代は、国が1食あたりの負担額を定めているため、どの病院でも同じ金額です。2026年6月からの自己負担額は、一般の方で1食550円、住民税非課税の方で270円(入院90日まで)。1日3食・30日で計算すると、一般の方で49,500円、住民税非課税の方で24,300円になります。高額療養費制度で医療費に上限があっても食事代は別途かかり続けるので、あらかじめ準備しなければいけません。
差額ベッド代
差額ベッド代とは、個室などを希望して入院した場合にかかる部屋代です。個室だけでなく、2〜4人部屋でもかかる場合があるので注意しましょう。公的医療保険の対象外で、高額療養費制度も使えないため、全額自己負担になります。
厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」によると、1人部屋の1日あたりの平均額は8,710円です(2025年8月1日時点)。30日入院すると、261,300円になります。また、個室だけでなく、2〜4人部屋でも1日3,000円前後かかる場合があるのです。ただし、以下の3つのいずれかに当てはまる場合は、支払う必要はありません。同意書にサインする前に、金額と内容を確認しましょう。
- ・病院側が同意書で患者の同意を確認していない
- ・治療上の必要から個室に入った
- ・病院側の都合で個室に入った
日用品・衣服などの雑費
パジャマ、歯ブラシ、ティッシュなどの日用品も全額自己負担です。1つ1つは少額でも、入院が長くなるほど積み重なります。日用品の用意には、主に2つの方法があります。1つは、パジャマやタオルなどをまとめて借りられる入院セットを使う方法です。1日300〜500円ほどが目安で、30日使うと9,000〜15,000円ほどかかります。
もう1つは、家族が用意して持ち込む方法です。セット代はかかりませんが洗濯物を持ち帰って洗う必要があり、遠方に住んでいると往復が負担になります。どちらが選べるのか、入院する病院に事前に確認しておきましょう。
1ヶ月以上の入院で使える医療費の負担を軽くする制度
1ヶ月以上入院すると医療費が高くなりがちですが、費用の負担を軽くする制度があります。ここからは自己負担に上限を設けた高額療養費制度の仕組みと、窓口での支払いや当面の資金の負担をおさえる方法を解説しましょう。
高額療養費制度で自己負担額に上限がある
高額療養費制度とは、1ヶ月に支払う医療費の自己負担に上限を設けた制度です。上限額を超えて支払った分は、加入している健康保険に申請すると払い戻されます。また、上限額は年齢や所得によって異なり、70歳未満の方は以下のとおりです(2026年8月診療分から)。
|
区分 |
年収の目安 |
1ヶ月の上限額 |
|
ア |
約1,160万円〜 |
270,300円+(総医療費−901,000円)×1% |
|
イ |
約770〜約1,160万円 |
179,100円+(総医療費−597,000円)×1% |
|
ウ |
約370〜約770万円 |
85,800円+(総医療費−286,000円)×1% |
|
エ |
〜約370万円 |
61,500円 |
|
オ |
住民税非課税 |
36,900円 |
例えば、区分ウ(約370〜約770万円)の方の医療費が1ヶ月で100万円かかった場合、自己負担額は85,800円+(1,000,000円−286,000円)×1%=92,940円。3割負担の30万円と比べると、約20万円も軽くなります。また、70歳以上の方には別の区分があり、年収約156〜370万円の方なら、入院を含めた世帯の上限は61,500円です。
ただし注意点は、「1ヶ月」が1日から末日までの暦月で計算されること。もし15日に入院して翌月14日に退院すると2ヶ月に分かれ、それぞれの月に上限額がかかります。加えて、食事代と差額ベッド代は制度の対象外です。
入院が長引くと上限額がさらに下がる(多数回該当)
高額な医療費の自己負担が直近12ヶ月以内に3回以上、上限額に達した場合は「多数該当」という仕組みにより、4回目からの自己負担限度額が引き下げられます。区分ごとの金額は以下を参考にしてください。
|
区分 |
年収の目安 |
多数該当の上限額 |
|
ア |
約1,160万円〜 |
140,100円 |
|
イ |
約770〜約1,160万円 |
93,000円 |
|
ウ |
約370〜約770万円 |
44,400円 |
|
エ |
〜約370万円 |
44,400円 |
|
オ |
住民税非課税 |
24,600円 |
例えば、区分ウの方が毎月上限額に達している場合、4ヶ月目からは1ヶ月の上限が44,400円になります。さらに2026年8月からは、8月から翌年7月までの1年間の自己負担にも上限(年間上限)が設けられました。年収約770万円以下の方(住民税非課税を除く)なら年間53万円で、それを超える負担は不要です。
ただし、回数は同じ健康保険に加入している間で数えるため、退職などで保険が変わるとリセットされます。
窓口での支払いを上限額までに抑えられる(限度額適用認定証・マイナ保険証)
マイナ保険証を使うか、事前に限度額適用認定証を申請しておけば、窓口での支払いを上限額までにおさえられます。どちらも使わない場合は、いったん窓口で自負負担分を支払い、上限額を超えた分はあとから払い戻される流れです。
もし、区分ウの方の医療費が100万円かかった場合なら、窓口でいったん30万円を立て替えなければいけません。しかし、マイナ保険証か認定証を使えば最初から92,940円の支払いで済みます。なお、限度額適用認定証は、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村の国民健康保険など)に事前に申請します。入院が決まったら、どちらかを準備しておきましょう。
支払いが難しいときは貸付制度を利用できる

マイナ保険証や限度額適用認定証を使えず、窓口で立て替えるのが難しいときは、貸付制度を利用できます。貸付制度とは、高額療養費として払い戻される予定の金額の一部を、先に貸し付けてもらえる制度です。払い戻しは約3ヶ月後になるため、その間も医療費を助ける目的で設けられています。
協会けんぽの「高額医療費貸付制度」では、払い戻し予定額の8割を無利子で借りられます。ただし、借りられる割合や条件は、加入している健康保険や自治体によって異なるため、早めに加入先に相談しておくとよいでしょう。
入院1ヶ月以上で遠方から付き添う家族は滞在費もかさむ
入院1ヶ月以上になると、本人の医療費だけでなく、遠方から付き添う家族の滞在費もかかります。ここからは、大阪に住む家族が東京の病院に付き添うケースを例に、ホテルに泊まる、自宅から通う、賃貸を借りる3つの方法の負担を解説しましょう。
1ヶ月以上のホテル泊は宿泊費が大きくなる

1ヶ月以上ホテルに泊まると、宿泊費の負担は大きくなります。例えば、東京都のビジネスホテルの平均単価は1泊約14,300円です(直近12ヶ月平均、ホテルバンク調べ)。30泊すると、14,300円×30泊=429,000円になります。さらに、キッチンがないため外食が続き、食費もかさみます。洗濯はコインランドリー頼みで、部屋も狭いため長く過ごすと窮屈に感じやすいでしょう。
また、ホテルの料金は曜日や時期によって変わり、連休やイベントと重なると同じ部屋を続けて押さえにくいことも。数泊ならホテルは手軽ですが、1ヶ月以上になると費用も暮らしの負担も大きくなります。
参考資料:東京都ビジネスホテルADR12ヶ月トレンド「都心5区と周辺18区で開いた30%の価格差」より
<H3>自宅から毎日通うと時間と交通費の負担が重い
自宅から毎日通う場合は時間も交通費もかかり、体力的な負担も大きくなります。大阪から東京の病院へ新幹線で通う場合、運賃は自由席で片道13,870円、往復27,740円。乗車時間は片道約2時間30分です。もし、1ヶ月間毎日往復すると、交通費は832,200円にもなり、ホテルよりも高くなります。乗車時間だけでも1日5時間以上かかるため、付き添う方の体力も消耗してしまうでしょう。遠方からの付き添いでは、毎日通うのは現実的ではありません。
1ヶ月だけの賃貸契約は難しい
賃貸物件を借りる方法もありますが、1ヶ月だけ契約するのは難しいのが現実です。一般的な賃貸は2年契約が多く、短期間で解約すると違約金がかかる場合があります。入居審査や契約には日数を要するため、急に入院が決まったときには間に合わないこともあるでしょう。
さらに、敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用に加え、家具家電をそろえ、電気・ガス・ネットの開通手続きも必要。退院後はそれらを処分する手間も残ります。付き添いの期間だけ借りるには、費用も手間もかかりすぎてしまうのです。
入院1ヶ月以上の付き添いにマンスリーマンションが向いている理由
1ヶ月以上の入院の付き添いでは、ホテルに泊まるのも、自宅から通うのも、賃貸を借りるのも負担が大きくなります。そこでおすすめなのが、マンスリーマンションです。以下では、付き添いの滞在先としてマンスリーマンションが向いている理由を解説しましょう。
家具家電が完備されていて到着したその日から生活できる

マンスリーマンションは家具家電が完備されており、到着曽田その日から生活を始められます。ベッドや冷蔵庫、洗濯機に加えて、調理器具や食器までそろっている物件もあり、自炊や洗濯も部屋で済ませられます。自宅に近い環境で過ごせることは、付き添いで疲れた体を休めるうえで心強い支えになるでしょう。
入居の契約はWebで簡単にできる
マンスリーマンションは、Webで申し込みから契約まで完結できる運営会社が多くあります。物件の写真や間取りを確認し、まるでホテルを予約するような感覚で手軽に契約できるのです。即日入居できる物件もあるため、急に入院が決まったときでも短い期間で滞在先を確保しやすい利点があります。
病院近くの物件を選べる
マンスリーマンションは駅近くや繁華街、住宅街などさまざまな場所にあり、病院近くにも物件はあります。病院の近くに滞在すれば移動時間が短くなり、浮いた時間で体を休められます。容体の急変などで病院に駆けつけなければならないときも、すぐに動けるでしょう。
長く泊まるほどホテルより費用をおさえやすい
マンスリーマンションなら、長く滞在するほどホテルより費用をおさえやすくなります。1日あたりの料金がホテルの1泊より安く設定されていることが多く、長期利用で割安になるプランもあるからです。
例えば、東京の場合、ビジネスホテルに1ヶ月泊まると約429,000円かかるのに対し、マンスリーマンション(1R〜1K)は月15〜20万円ほど。差額は、約23万〜28万円です。また、条件によっては利用期間の延長や短縮ができ、短縮した場合は返金に対応している物件もあります。そうした物件なら、もし退院が早まっても使わない日数分の費用を払い続ける心配がありません。
入院1ヶ月以上に備えて、医療費と付き添いの滞在費を早めに見積もろう
1ヶ月以上の入院では、医療費に加えて遠方から付き添う家族の滞在費もかかります。医療費は高額療養費制度で自己負担に上限がありますが、食事代や差額ベッド代は対象外です。滞在費は、病院近くのマンスリーマンションを選べばホテルよりもおさえられます。入院が決まったら、医療費と滞在費の両方を早めに見積もっておきましょう。
アットインのマンスリーマンションなら、Webで契約まで完結し、即日入居できる物件もあります。条件次第では利用期間の延長・短縮にも対応しているため、入院の見通しが立たないときも安心です。費用の見通しを立てておけば、大切な家族のそばで付き添える環境を整えられますよ。
