公開日:2026/10/15

レスパイトとは?介護する家族が休むための4つの方法と利用する前の注意点を解説

レスパイトとは?介護する家族が休むための4つの方法と利用する前の注意点を解説

介護を続けるなかで、「少し休みたい」「誰かに介護を代わってほしい」と感じることはありませんか。家族の介護から離れることに、申し訳なさや罪悪感を抱く人もいるでしょう。レスパイトとは、介護している家族が一時的に介護から離れて休むことを指します。

本記事ではレスパイトの意味と必要とされる理由、レスパイトケアの4つの方法、利用する前に知っておきたい注意点を解説します。介護を無理なく続けるために、レスパイトについて知っておきましょう。

レスパイトとは?

レスパイトは介護する人が一旦介護から離れて休憩することです。似た言葉に「レス パイトケア」「レスパイト入院」があって混同されやすいため、まずは意味を整理しましょう。

レスパイトの意味は、「休息」「一時的な中断」

レスパイトとは、英語で「休息」「息抜き」「一時的な中断」を意味します。介護の場面では、介護をやめるのではなく、一時的に中断して心と体を休め、また介護に戻るという意味で使われています。例えば、家族がショートステイやデイサービスなどを利用している間に、自分の時間を過ごしたり、睡眠をとったりすることもレスパイトの一つです。

レスパイトケアは、介護を一時的に代わってもらう支援

レスパイトケアとは、介護する人が休めるように、介護を一時的に代わってもらう支援です。レスパイトが「休息そのもの」を指すのに対して、レスパイトケアはその休息を支えるサービスを指します。例えば、ヘルパーに自宅へ来てもらう訪問介護や、短期間入院するレスパイト入院も、レスパイトケアに含まれます。詳しくは、のちほど紹介しましょう。

もとは障害者福祉から始まった言葉

レスパイトケアという考えは、もともとは障害のある人とその家族を支える制度から始まりました。日本での出発点は、1976年「心身障害児(者)短期入所事業」です。当時は冠婚葬祭などのやむを得ない事情がある場合に限られ、「疲れたから休みたい」という理由では利用できませんでした。その後、介護保険制度にショートステイが位置づけられ、高齢者介護にも普及していきました。そして今は、介護疲れが理由の場合でも利用を認められています。

レスパイトが使われるのは、高齢者の介護、障害のある家族のケア、医療的ケアが必要な子どもの家族の3つの場面です。本記事では、高齢者の在宅介護を中心に解説します。

参考資料:一般社団法人日本医療・病院管理学会「レスパイトケア」より

なぜレスパイトが介護を続けるために必要なのか

介護を代わってもらうことに、後ろめたさを感じる方もいるかもしれません。しかし、介護疲れを理由にレスパイトを使うことは、制度として認められています。ここからは、介護する人の体調、介護の見直し、介護される人との関係の3つの面から、レスパイトが必要な理由を解説しましょう。

介護する人が倒れれば、在宅での介護は続かない

介護する人が体調を崩して動けなくなれば、介護そのものが止まります。介護する人が限界を迎えやすいのは、1日を通して自分の時間がほとんどないからです。食事介助していると自分の食事は後回しになり、夜中もトイレの介助で何度も起こされます。代わってくれる人がいなければ、自分が体調を崩した日も横になれません。しかも介護は、いつまで続くのか先が見えないもの。だからこそ、休息は「サボり」ではなく、介護を続けていくために必要なのです。

離れる時間が、介護を見直すきっかけになる

介護から離れる時間があると、今の介護を客観的に捉えられ、問題点に気づけます。毎日続けている間は目の前のやるべきことに追われ、どうにか回っているうちはやり方を振り返る余裕がありません。

例えばショートステイを利用すると、「夜のトイレ介助を一人で抱えるのは限界かもしれない」「他の家族にも分担を頼んだ方がいいかもしれない」と、なんとなく感じていたことがはっきりします。また、施設や訪問の職員から、自宅での介助の方法について助言をもらえることもあるでしょう。離れる時間は、よりよい介護につながる時間でもあるのです。

距離ができると、介護される人との関係も保ちやすくなる

介護から離れる時間があると、相手に対して積もっていた苛立ちがいったんほどけて、穏やかな気持ちで向き合えます。例えば、疲れているときは、着替えを手伝いながら「早くして」と急かしてしまうこともあるでしょう。しかし、デイサー ビスを利用した日には、帰ってきた親に「今日はどうだった?」と声をかけられるようになることも。少し距離を置く時間は、介護される人との関係を保つためにも役立ちます。

レスパイトケアの4つの方法

レスパイトケアには、主にショートステイやデイサービス、訪問介護・訪問看護、レスパイト入院の4つの方法があります。休みたい時間の長さや医療的なケアの必要性によって使い分けられるので、以下で詳しく解説しましょう。

ショートステイ(短期入所)

ショートステイは、介護される人が施設に泊まり、食事・入浴・排泄の介助などを受けられるサービスです。1泊から利用でき、数日から1週間ほど続けて預けることも可能。夜に預けられるため、介護する人はまとまった休息をとれます。

ショートステイは、数日まとめて休みたい人向き。友人との旅行に出かける日にも、介護する人が体調を崩したときにも利用できます。

デイサービス(通所介護)

デイサービスは、介護される人が日帰りで施設に通い、食事・入浴・機能訓練・レクリエーションなどを受けられるサービスです。朝に送り出して夕方に迎えるまでの間、介護する人は自分の時間を持てます。友人とお茶をしたり、銀行に行ったり、たまった家事を片づけたりもできるでしょう。

また、週に何回か、決まった曜日に通う使い方が多いため、毎週の予定も立てやすくなる利点も。日中にまとまった時間をつくりたい人にはデイサービスの利用が向いています。

訪問介護・訪問看護

訪問介護・訪問看護は、介護される人が自宅にいたまま、専門職に介護を代わってもらえるサー ビスです。訪問介護ではヘルパーが食事・入浴・排泄などの介助を行い、訪問看護では看護師が体調の確認や服薬の管理などをします。住み慣れた家でサービスを受けられるので、施設に行くのを嫌がる人でも任せやすいのが特徴です。来てもらっている間に、別の部屋で仮眠をとったり、買い物に出たりすることも可能。

訪問介護・訪問看護は、自宅にいながら短い休息をとりたい人に向いています。

レスパイト入院

レスパイト入院は、介護する人が休めるように、介護される人が病院に短期間入院する方法です。医師や看護師が24時間体制でケアにあたるため、医療的な管理が必要かつ他の施設に預けるのが不安な人でも任せられます。

ただし対象は、人工呼吸器や在宅酸素、胃ろうなど医療的な管理が必要な人に限られ、介護保険ではなく医療保険での扱いになります。また、主治医の診療情報提供書が必要。受け入れの条件や期間は病院ごとに異なります。レスパイト入院は、医療の管理が必要な家族を介護している人に向いています。

レスパイトを利用する前に知っておきたい注意点

レスパイトは介護を続けるために必要な休息ですが、利用する前に知っておきたい注意点もあります。ここでは、費用、予約の取りやすさ、介護される人の気持ち、手続きの4つの面から解説しましょう。

自己負担がかかる

レスパイトケアの多くは介護保険や医療保険が使えますが、所得に応じて1〜3割の自己負担があります。さらにショートステイの食費や滞在費は保険の対象外で、別途支払いが必要。レスパイト入院も医療保険は使えますが、通常の入院と同様に自己負担分と食事代がかかります。実際にいくらかかるかは施設や病院によって異なるため、利用を決める前にケアマネジャーや施設に確認しましょう。

予約が取りにくい

レスパイトケアは、使いたいときにすぐ使えるとは限りません。例えば、ショートステイは受け入れられる人数が決まっているうえ、定期的に利用している人もいるため、希望する日に空きがないことがあります。また、お盆や年末年始などの連休は特に希望が集中し、直前だと空きが見つからないことも。

予定が決まっているなら早めに、もし決まっていなくても「月に1回は休む」と決めてケアマネジャーに相談しておくと、使いたいときに動きやすくなります。

介護される側が環境の変化に不安を感じることがある

レスパイトケアを利用すると、介護される人がいつもと違う環境に不安を感じることがあります。慣れた家や家族から離れて、知らない場所や人の中で過ごすことになるからです。特に認知症の人は、環境が変わることで混乱したり、落ち着かなくなったりする場合もあります。

ただ、「本人が渋るから」と使わずにいると、介護する人の疲れだけがたまるもの。まずはデイサービスや訪問介護など、短い時間の利用から始めて少しずつ慣れてもらう方法も視野に入れておきましょう。

利用には認定・条件・手続きが必要である

ショートステイやデイサービス、訪問介護などの介護保険サービスを利用するには、要介護(要支援)認定を受けていることが前提です。認定を受けていない場合は申請手続きをしなければならず、思い立った日にすぐ使えません。また、すでに認定を受けている場合も、ケアプランに組み込んでもらう必要があります。

例えば、ショートステイの連続利用は原則30日まで、レスパイト入院は受け入れの条件や期間が病院ごとに異なります。認定がまだの方は、市区町村の窓口か地域包括支援センターに確認しましょう。

レスパイトを取り入れて、無理のない介護を

休むことをためらう気持ちは、介護を大事に思っているからこそ生まれるものです。それでも、介護する人が倒れてしまえば、在宅での介護は続きません。

数日まとめて休息したいならショートステイ、日中の時間を作りたいならデイサービス。本人が家を離れたがらないなら訪問介護・訪問看護、医療が必要ならレスパイト入院という選び方になります。どれも空きや手続きの都合があるので、休む日が決まっていなくても早めに担当のケアマネジャーに相談しておくと動きやすくなるでしょう。

レスパイトは、そのために用意されている仕組みです。無理のない形を、ケアマネジャーと一緒に探してみてくださいね。